原文(2017年3月22日投稿): Chromebook Compatibility with Plugable USB Docking Stations and Video Adapters, 2017 by Bob Borner
概要
Plugable 社製の USB グラフィックス・アダプタとドッキングステーションは、多くの Chromebook で使用できます。このブログ記事では、これまで Plugable 社製品がどのように ChromeBook で使用できるようになってきたかをご説明し、カテゴリ別に重要なポイントをご提供いたします。
はじめに
Plugable 社製 USB グラフィックス・アダプタとドッキングステーションが採用しているチップセットのタイプ
互換性のある USB 2.0 機器
パフォーマンスに関する考慮点
互換性のある USB 3.0 機器
Chrome OS の動作
わかっている問題点
まとめ
Chromebook 使用時のヒント
はじめに
Plugable 社は社内システムとして、Google 社の提供する Gmail や Google Doc などの、クラウド・ベースのソフトウェア・サービスを利用しています。したがって私たちが Google 社の ChromeOS やそれを採用している ChromeBook および ChromeBox などの関連機器ファンであることも自然なことと言えるでしょう。ChromeBook などは Google 社のサービスを使用することを想定して設計されているため、非常に簡単でシンプルでありながら、多くの優れた機能を提供しています。
Chromebook は非常に高価というわけではありませんし、使うのも簡単です。したがって、近年 Chromebook のユーザがどんどん増えてきていることや、多くの学校などが従来型の PC やタブレットなどではなくChromebook を採用し始めていることは、特に驚くことではありません。 (学校での採用事例についてはこちらの記事(英語)が参考になります。)
その結果、私たちは最近「Plugable 社製の DisplayLink 技術ベースの USB グラフィックス・アダプタやドッキングステーションは、Chromebook でも使えるのですか?」という質問をよく受け取るようになりました。これに関しては過去にブログ記事(2015 年 10 月 21 日:ChromeOS が Plugable USB 2.0 ドッキングステーションをサポート)を掲載したことがありますが、ここで新たに、現在の最新情報をご提供したいと考えます。
質問に対する最も簡潔な回答としては、2015 年以降に販売されたほとんどの Chromebook で、Plugable 社製 DisplayLink 技術ベースの USB グラフィックス製品が使用できます。しかし、いくつか非常に重要な考慮点もありますので注意が必要です。
質問に対するより詳細な回答として、ご利用の環境の様々な要素に依存する、機能ごとの対応レベルやディスプレイ・パフォーマンスに関する情報を、下記に詳しく述べていきたいと思います。
Plugable 社製 USB グラフィックス・アダプタとドッキングステーションが採用しているチップセットのタイプ
Plugable 社の DisplayLink 技術をベースとしたグラフィックス製品は、「USB 2.0 対応」と「USB 3.0 対応」の 2 種類に分けられます。これらはつまり、その製品が採用している DisplayLink 社製チップセットの差と言えます。
Plugable 社の USB 2.0 グラフィックス製品は、DisplayLink 社製のチップセットのなかでも、Linux OS のオープンソース・コミュニティによって書かれたドライバを使用しています。(余談ですが、そのうちの一つは Plugable 社創設者および現社長のバーニー・トンプソンが提供したものです。)Chrome OS は Linux をベースとして開発されており、多くの点で非常に似ていると言えます。Google 社はこのオープンソース・コミュニティによって開発された(DisplayLink USB 2.0 チップセット用)ドライバを、しばらく前に Chrome OS に内蔵しています。(こちらの情報(英語)がご参考になると思います。)
ご注意いただきたいのは、この DisplayLink ドライバは Intel 社製および ARM ベースの CPU を採用している Chromebook では使用可能となっているものの、Nvidia Tegra プロセッサを採用した Chromebook では対応サポート外であるという点です。こちらの情報(英語)をご参照ください。
互換性のある USB 2.0 機器
つまり、「Plugable USB 2.0 VGA / DVI / HDMI グラフィックス・アダプタ(UGA-165)」のような、USB 2.0 グラフィックス・アダプタは、Chromebook 用の他の周辺機器と同様に、問題なく使用できるはずだということです。
「できるはず」という表現になってしまう理由は、市場には数えきれないほど多数の Chromebook モデルが存在しており、弊社がそれらすべてとの互換性を検証することは不可能だからです。(この点については、当ブログの後半で再度ご説明します。)Google 社は、ChromeOS を採用している機器のリストをこちら(英語)で公開しています。
パフォーマンスに関する考慮点
システムに周辺機器を接続した場合、単に周辺機器が稼働するかどうかだけではなく、パフォーマンス上に使用に耐えないような問題がでないかも考慮すべき点といえます。DisplayLink 技術採用の機器は、「仮想的な」グラフィックス・アダプタです。「仮想的」とは、「外部モニタを正しく表示するためにシステム側の CPU およびグラフィックス(GPU)機能に依存している」という意味です。
Chrome OS 自身は非常に効率的な構造であることもあり、Chromebook には一般的には強力な CPU が必要要件ではありません。結果として、Chromebook の多く(特に古いモデル)は Windows や Mac システムに比べ、非力な CPU を搭載しています。これにより Chromebook の低価格や省電力が実現されているわけですが、外部モニタを駆動するには十分といえないことがあります。結果として表示パフォーマンスは、より強力な CPU を搭載したシステムと比べ、どうしても遅くなります。私たちが DisplayLink グラフィックス機器の利用を検討しているお客様に 2015 年以降に販売された Chromebook をお勧めするのは、この点が一つの理由となっています。
互換性のある USB 3.0 機器
次に USB 3.0 対応グラフィックス製品についてみていきましょう。DisplayLink 社は現在、USB 3.0 チップセット用のデバイス・ドライバをリリースしており、その一部はオープンソースとして公開されています。このドライバは、Chrome OS に統合されています。
しかしこのドライバ対応は、Intel および ARM ベースの CPU を搭載した Chromebook に限られており、Nvidia 社製の CPU 搭載モデルでは非対応です。Intel および ARM ベースの Chromebook であれば、どのシステムでもドライバを使用できる「はず」です。(先に述べた通り、弊社がすべてのモデルを検証することはできませんので、「はず」という表現をしています。)
つまり、DisplayLink 社製 USB 3.0 チップセットを採用している「Plugable USB 3.0 ユニバーサル・ドッキングステーション(UD-3900)」や「Plugable USB 3.0 VGA/DVI/HDMI グラフィックス・アダプタ(UGA-3000)」などの Plugable 社製グラフィックス製品は、(ドライバに対応している)Chromebook で稼働するはずです。しかし、ここでもパフォーマンス上の懸案は残ります。特に UD-3900 ドッキングステーションは 2 つのグラフィックス・ポートにより 2 台までの外付けモニタに対応しているため、より考慮が必要です。USB グラフィックスを経由して接続されたモニタ数が多ければ多いほど、そしてその解像度が高ければ高いほどシステム・リソースが多く必要となり、よりパフォーマンスに影響を与えるからです。
Chrome OS の動作
パフォーマンス上の考慮点以外に、もう一つ非常に重要な注意点があります。それは複数の外部モニタを接続した Chromebook 側の動作についてです。Windows や Mac システムであれば、例えばシステムがスリープ状態から戻る際どうするか、複数モニタの配置やそれぞれの解像度設定、ラップトップの蓋を閉めた場合にモニタ、マウス、キーボード等はどうふるまうべきかなど、細かにユーザが動作を指定することができます。
しかし Chrome OS では、ユーザはそのような場合でも非常に限られた設定項目しか変更することができず、Google 社が意図した動作以外をさせるのは困難です。例えば Chromebook には 2013 年まで、「ドック・モード」と呼ばれる機能がありませんでした。「ドック・モード」とは、Chromebook の蓋を閉めたときにシステム本体のモニタ側は無効化し、外付けモニタだけに表示を継続するようなモードのことです。(詳細な経緯についてご興味がありましたらこちら(英語)やこちら(英語)をご参照ください。)
わかっている問題点
Chrome OS には、これまで述べてきたような「比較的非力な CPU によるパフォーマンス上の懸案」や「外部周辺機器に関する詳細構成オプションが少ない」点などに加えて、Plugable 社製品をご利用いただくにあたって Windows で使用する際にはない、独特の「知られている問題」があります。
Plugable 社は、自社製品をお客様にお勧めする場合、後でフラストレーションを感じていただくことがないように、事前に製品に関する技術的な情報(問題点)をご提供するよう努めています。弊社がこれまで様々な Chromebook を使用して実施してきた検証作業の中で、いくつかの「奇妙な動作」が確認されています。
- USB 3.0 DisplayLink 機器の多くが、Chromebook がコールドブート(完全にシャットダウンしてから、もう一度再起動)された場合に正しく稼働しません。これを解決するためには一度 USB 3.0 機器をシステムから取り外し、もう一度接続しなおす必要があります(「ホットプラグ」と呼ばれます)。通常、USB 2.0 ではこのようなことは起こりません。
- Chromebook がスリープから復帰した際にも、USB 3.0 DisplayLink 機器が自動的に復帰しないことがあります。これが発生した場合、上記と同様に一度 USB ケーブルを抜き差しする必要があります。USB 2.0 DisplayLink 機器の場合、通常このようなことはおこりません。
- ほとんどの場合は、USB 3.0 DisplayLink 機器が接続されている Chromebook のふたを閉じるとシステムは「ドックモード」になります。この際、通常は表示される「ドックモードになった」というChrome OS 側からのメッセージが、表示されないことがあります。
- 複数の DisplayLink 経由のモニタが接続された場合、Chrome OS は「拡張モード」になったことは認識はしますが、複数モニタのうちの 1 つのモニタ名しか表示しません。ただし複数モニタは正しく機能しますので技術的には問題なく、表示上の問題といえます。
- 他のスリープモードでの問題として、ドックモードになっている Chrome OS システムをスリープから復帰させる際に、ドッキングステーションなどを経由した USB キーボードのキーを押しても機能しないことがあります。このような場合は、マウスのボタンを試してみることをお勧めします。マウスの場合は機能することがほとんどです。
- Plugable 社製のグラフィックス製品の表示パフォーマンスは、Chrome ブラウザの表示など通常業務をするには問題ありません。しかし、システム自体の仕様によっては動画再生などシステム負荷の高いアプリケーションを実行する際にパフォーマンスが極端に劣化し、使用に耐えないケースがあります。これは、DisplayLink 機器が Chromebook の 内蔵 CPU および グラフィックス・アダプタ(GPU)性能に大きく依存していることに依っています。一般に、2015 年以降に製造された Chromebook であれば(それ以前より高速な CPU を搭載しているため)このようなパフォーマンスの劣化は起きにくいと考えられます。
- 場合によっては、Chromebook では DisplayLink 機器が正しく機能しないことがあります。このような場合は、
- まず、こちらの Google 社が推奨する手順によって、最新の Chrome OS(この記事を書いている今日現在は 56 です)が導入されていることをご確認ください。
- 最新の Chrome OS でも問題が解消しない場合は、ローカルにあるデータのバックアップを取ったのちに、Chromebook をリセット(パワーウォッシュ)してください。
- Chromebook をリセットしても DisplayLink 機器が正常に稼働しない場合は、DisplayLink 機器を一度、Windows システムに接続し、正しく機能するかをご確認ください。(注意:必要な場合には、こちらのサイト(英語)から Windows 用の DisplayLink デバイス・ドライバをダウンロードし導入してください。)
Chromebook 使用時のヒント
- Chromebook には、スリープモードに入るまでの経過時間を変更する機能がありません。Chromebook によっては、ラップトップのふたが開いている状態でも直ちにスリープモードにするための、キーボード・ショートカットがあります。「検索(虫眼鏡)キー」+「シフト・キー」+「L」を同時に押してください。
- 代替手段として、「シフト・キー」+「L」を同時に押すと機器をロックすることができ、数分後にシステムがスリープモードに入ります。(画面をロックする、またはロックを解除する)
- Chrome ブラウザ内の文字サイズは、キーボード・ショートカット「Ctrl」+ 「+」または「-」キーで変えることができます。
- Chromebook 自身のモニタの画面解像度は、キーボード・ショートカット「Ctrl」+ 「Shift」+「+」または「-」キーで変えることができます。このショートカット・キーで変わるのはあくまで Chromebook 本体のモニタで、本体のグラフィックス・ポートや DisplayLink グラフィックス製品を介して接続されたモニタの解像度には影響を与えません。(ドックモードで、外部モニタしか実際には表示されていない場合でも、外部モニタの解像度は変わらない点にご注意ください。)
- Chrome OS には便利なショートカット・キーが数多く用意されています。どんなショートカット・キーがあるかを簡単に表示するには、「Ctrl」+ 「Alt」+「?」キーを押してください。外面上にキーボード・レイアウトが表示され、使用可能なショートカット・キーが表示されます。シフトや Alt キーなどを押すと、それに応じたショートカット・キーの表示に切り替わります。
- Chrome OS のバージョンを確認したいときには、まずアカウント画像が表示されているステータス領域をクリックし、設定アイコン > [Chrome OS について] の順にクリックします。バージョン番号を含む概要ウィンドウが表示されます。
まとめ
Plugable 社製の USB 2.0 および USB 3.0 の DisplayLink グラフィックス機器は、2015 年以降に販売された Chromebook システムの多く(全てではなく)で使用できますが、いくつかの「わかっている問題」があります。
Chrome OS は Google 社によって管理されているためドライバを追加で導入する手間はありませんが、逆にドライバを導入する手段もありませんので、Plugable 社のような周辺機器メーカーにより問題が解決できないこともあり得ます。Chrome OS 自身はいまだ周辺機器との互換性や、様々な Chromebook システム間でのパフォーマンスの一貫性については、発展途上といえるでしょう。
しかし我々は、このような状況は時間が経つにつれ向上していくものであると楽観視しています。
もし当件について何かご意見やご質問がありましたらぜひコメントをお寄せください。あるいは、何かお困りの点があればお気軽に Plugable サポート担当 nihongo@plugable.com まで、メールにてお問合せください。
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